物語のある生活

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ザ・ノンフィクション「万引きランナーと呼ばれて」内容&感想

ザ・ノンフィクション

「万引きランナーと呼ばれて」

2019年4月7日(日)放送分
語り:登坂淳一(元NHKアナウンサー)

 

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今回の主人公は、

マラソンランナーの原裕美子(はら ゆみこ)さん、37歳です。

原さんの故郷は栃木県足利市。

6人家族の長女で、子供の頃から走るのが大好きだったそうです。

中学3年生の時、東日本女子駅伝 8区 区間賞を獲り注目されました。

2000年には実業団の名門、京セラからスカウトされ入社します。

その後は2005年名古屋国際マラソン優勝、

2007年大阪国際女子マラソン優勝など、

日本の女子マラソン界に彗星のように現れた期待のランナーでした。

 

しかし、原裕美子さんは2018年2月に

382円相当のお菓子の万引きをし逮捕、起訴され、

その栄光は地に落ちていきました…。

 

「ザ・ノンフィクション」は

2018年12月、原裕美子さんに判決が下るまでのおそよ半年間、

密着取材を続けていました。

 

2018年7月 千葉県

判決を待つ保釈中の原裕美子さんは、

精神病院で万引きを止める治療を続けていました。

3か月間の入院を経て、更生施設での生活がスタートします。

この施設(アパート)では、

覚醒剤やアルコール、万引きなどの依存症患者が共同生活を送っています。

アパートの家賃は4万円。

原裕美子さんは現役時代の貯金を切り崩して生活します。

時給100円での職業訓練にも参加します。

食事は自炊。

料理が得意な原さんは、ルームメイトの分も作ってあげるようです。

 

そして、施設の食堂で昼食づくりも任されていました。

食事は1食500円です。

役割を与えることが、社会復帰への第一歩だと施設は考えています。

 

原裕美子さんは、スーパーへ買い物へ行きました。

買い物の際は、施設の人が監視員として同行します。

実はこのスーパーで、万引きの治療が行われるのです。

原裕美子さんは、病的窃盗という万引きを止められない病気。

監視員が見ている中、「疑似万引き」を繰り返します。

万引きの動作をしても自分の物にならないことで、

それが失敗経験となり、万引きをしたいという欲求を感じなくなるそう。

 

原裕美子さんが初めて万引きをしたのは2008年。

京セラ時代のことでした。

京セラを退社し、2012年8月に万引きで初逮捕されます。

この時は警察の注意指導のみでしたが、

その後も食材の万引きで4回の逮捕。

 

原裕美子 万引き逮捕歴

そして2017年7月、原さんは6度目の逮捕で起訴されました。

化粧水や食材、合計2700円を万引き。

懲役1年、執行猶予3年の判決が言い渡されました。

しかし、執行猶予中の2018年2月、またしても万引きの現行犯で逮捕。

キャンディなどのお菓子、合計382円を万引き。

 

執行猶予中の万引きを犯したとして、検察は実刑を求めました。

実刑だと万引きの治療ができないので、

執行猶予を求める原裕美子さん…。

この日は弁護士のもとで裁判のリハーサルを行いました。

 

2018年8月

民宿での下働きをする原さんの姿がありました。

とにかく几帳面で、仕事も完ぺきにしないと気が済まない様子。

従業員の食事の時間、大盛りのカレーライスをおかわりして、

幸せそうにしている原裕美子さん。

すごい食欲です。

 

京セラ時代には、厳しい食事制限があったそうです。

 

「食べたいけれど、食べられない…」

 

追い詰められた原さんは、

食欲を満たすある方法を偶然知ってしまったと言います。

「お風呂に入っているときに、

たまたまとった姿勢で食べていたものが出てきてしまって、

こういう風にすれば夜中に起きてトレーニングしたり

サウナに入ったりしなくても好きなものが食べられる。

吐けることが嬉しかった。もう怒られなくて済む…。」

 

「食べても吐けばいいんだ。」

ストレスが無くなり、早く走れるようにもなったそうです。

 

しかし、これが落とし穴となり、体調不良が続きます。

2007年の世界陸上選手権大阪大会では18位を記録。

北京五輪の選考レースでも成績が悪く、選考には残りませんでした。

 

この年に、原さんは初めて万引きをしてしまいました。

 

原裕美子さんの犯罪は世間で注目を浴び、故郷に居る家族にも影響を与えました。

度重なる万引きで兄弟とは疎遠になり、

家族は肩身の狭い生活を余儀なくされていました。

自慢の娘が、家族の絆を壊してしまうとは…。

 

実は原さん、2016年10月に1つ年上の自営業の男性と恋に落ち、

知り合って2か月後にはプロポーズを受けたそう。

しかし金銭トラブルが続き関係が悪化。

結婚式を挙げましたが、結婚は取り止めになりました。

それでも原裕美子さんは、男性が来てくれると信じて

2人で住む予定だったアパートに家財道具一式を揃えて待ち続けたと話します。

 

2018年9月下旬

密着取材を始めてから3ヶ月が経った頃、

原さんは同じ施設で暮らす、ある男性の部屋で料理をしていました。

この日のために用意したという鶏もも肉。

お茶で乾杯し(お酒は禁止)、手作りのチーズタッカルビを仲間と食べます。

 

原裕美子さん、なんだかウキウキしている様子。

それは、施設で暮らしている1つ年下の三春さんに惹かれていたからです。

三春さんは覚醒剤で3度の逮捕歴があり、現在は保釈中の身。

結婚に失敗した過去があります。

自分と同じような心の傷を持っている彼に惹かれていく原さん…。


三春さんの判決の日がやってきました。

この日、三春さんに下された判決は懲役1年10ヶ月

原裕美子さんは、三春さんの刑を静かに受け止めました。

 

そして2018年12月2日、原裕美子さんの判決前日。

実家へ泊ることにした原さんは、

いいお肉を用意して、家族とすき焼きを食べていました。

両親と兄弟、みんなで一緒に食べたいと思っていましたが、

兄弟3人は来てくれませんでした。

裕美子さんの母、芳子さん(64歳)が兄弟に電話をかけてくれました。

産まれたばかりの弟の子どもに手編みのセーターを編んだので、

どうしても判決前に直接渡したいと思っていた裕美子さん。

すると、弟が来てくれました。

セーターを受け取り、

「時間を考えて!」

「次の日、仕事で朝5時から早番」だと言って帰って行きました。

裕美子さんは「どうもありがとう」と言い、少し寂しそう?に席へ戻ります。

 

2018年12月3日 判決当日

父親が運転する車で、裁判所まで向かう原裕美子さん。

両親だけが、彼女の判決を見届けます。

父親は、集まるマスコミを避けようと裏口へ回ってくれました。

しかし裏口にもカメラが沢山。

 

そして、原裕美子さんに下された判決は

懲役1年 執行猶予4年でした。

 

この判決を受け、記者会見を開きました。

記者会見の4日後、

伊豆大島で開かれたマラソン大会にゲストとして呼ばれた原さん。

 

今年1月、受刑中の三春さんから手紙が届きました。

原さんは、カメラの前で「一番大切な人が居なくなっちゃった…」と

三春さんのことを話していました。

手紙には、

「俺は今、刑務所にいるけど何かあったら相談にのるからなんでも話してきてね。」

などと書かれていました。

 

そして原裕美子さんに、新たな仕事が見つかりました。

几帳面な性格を買われて、経理業務を担当することに。

月給は手取りで16万円。

3月からは、施設を出て一人暮らしを始めるそうです。

両親が引越しの手伝いに来てくれました。

 

「前に進むために。外でやっていける自信が自分の中に見えた。」

そう話していた原裕美子さん。

 

しかし……

 

施設に居た時に問題を起こしていたことを教えてくれました。

 

施設の冷蔵庫にあった、まかない用の鶏肉を数回に分けて

自分の部屋へ持ち帰ったそうです。

理由は「自分がせっかく作った料理を食べ残す入所者が居たので、

腹いせに肉を持ち帰った」との事…。

原裕美子さん、

この病気を完全に断ち切ることができるのでしょうか…。

 

<おわり>

 

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<感想>

いろいろツッコミどころがあった回ですね…。

まず一番は、腹いせに鶏肉を持ち帰るのが怖すぎました。

「大丈夫かなと思いましたね」って、落ち着いて話しているのがまた…。

しかも、鶏肉を持ち帰っていたことを原さん自らが教えてくれたんですよね?

悪いことだと思っていないかのような感じに見えました。

 

仕事もすんなりと(?)見つかったようですが、

仕事内容が経理って…いいの!?

同じ職場の人が放送を見たら、どう思うのかとか考えないのかな。

それとも、きっと受け入れてくれるだろう!みたいな感じなのかな。

 

「疑似万引き」というのは、今回の放送で初めて知った言葉でした。

万引きを止めるために、隠すことが難しい服装(ワンピースとか)で

買い物したり、買い物バッグを透明にするというのは

できないのでしょうか…?

食べ物に対して強い思いがあるようだけど、化粧品も万引きしてるし…。

 

仕事が見つかる件もだけど、あんなに思ってくれる両親が居て、

マラソンのゲストにも呼ばれたりして、

周りにもっと感謝の気持ちを持てないのかなぁ。と思ったりもしました。

 

弟が忙しい中、家に来てくれて次の日朝5時から仕事だというのに

裕美子さんからは「ごめんね」という言葉は一言もなかった。

そして「ありがとう」と大きな声で言った後、寂しいのもあるけど

ちょっと不機嫌そうにも見えてしまいました。

 

結局、施設から盗んだ鶏肉は、あの日の鶏肉なんでしょうか…。

怖い。